水晶/モロッコ産
モロッコ王国産の水晶
アフリカ北部に位置するモロッコ王国で産出した水晶です。
白亜紀後期から始新世にかけての堆積層に由来するリン鉱床から見つかるジオード(晶洞)で、ベージュ色や白色の外壁の内側に細粒の水晶結晶がびっしりと成長したドゥルージー状の形態が特徴です。
写真では伝わりにくいのですが、結晶表面が光を細かく反射してよく輝きます。
大きさはまちまちですが、いずれも同様の成長形態をしています。
産地の西サハラ ブーカラー
産地はモロッコが実効支配する西サハラにあるブーカラー(Bu Craa)です。
1963年に豊富なリン鉱床が発見され、モロッコのOCPグループ傘下のPhosboucraa社によって1972年より本格的な採掘が始まりました。
採掘されたリン鉱石は、全長約102kmに及ぶ世界最長のベルトコンベアで海岸まで運ばれ、船積みされます。このベルトコンベアは宇宙からも視認できる規模で、国際宇宙ステーションの乗組員からたびたび注目されてきました。
なお、欧州のミネラルショーや海外ECでは「スマラ産」の名称で流通することがありますが、実際にはブーカラーの鉱山からの産出です。ブーカラーでは水晶のほかに、カルセドニー(玉髄)も産出します。
形状や特徴
ブラジルや中国産の水晶のように柱面が長く伸びた透明な結晶とは異なり、錐面が短く細粒の結晶が内壁を覆う形で成長しています。
これは「ドゥルージー」と呼ばれる形態で、ドイツ語で「結晶や鉱物で満たされた岩の空洞」を意味するDruseに由来する言葉です。
珪酸を含む水溶液が空洞に浸入し比較的速く蒸発することで、大きな結晶にはなりきらず微細な結晶が密集して成長したものと考えられています。
外壁がベージュ色や白色をしているのは、リン酸塩堆積層の中で形成されたジオードに典型的な特徴です。
晶洞が大きく広がって外壁が薄くなっているものもあり、軽く叩くと乾いた高い音がします。取り扱いには注意が必要です。
現地業者によって半割にされた状態で入荷しますが、割断の際に表面が一部欠けているものもあります。
以前、このタイプの石を万力でお子様に割っていただくイベント用に納品したことがありましたが、大変好評だったようです。半割の状態から石を開いてみるまで、内部にどのような水晶の世界が広がっているかわからないのも、このジオードならではの楽しみです。
白濁した結晶のため分かりづらいですが、細かな結晶が成長しているのが確認できます。
晶洞の内部が広いタイプは、ブレスレットなどを入れての浄化用にもご活用いただけます。
モロッコ産の水晶の動画
こちらは、モロッコ産の水晶クラスターの動画です。塊状の石の内部に水晶が成長したもので、透明度はあまりありませんが、とても小さい水晶結晶がびっしりと詰まったジオード(晶洞)状になっています。無数の結晶表面が光を反射してよく輝きます。
クォーツ / Quartz
和名:水晶
分類:珪酸塩鉱物
モース硬度:7
劈開:無し
断口:貝殻状
光沢:ガラス光沢
結晶構造:三方晶系
比重:2.7
産地:モロッコ 西サハラ ブーカラー
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【参考文献】
・mindat 「Improving Mindat.org : Quartz geodes from Smara」
・NASA / JSC Earth Observatory 「Bou Craa Phosphate Mine, Western Sahara」
・岩石と宝石の大図鑑―ROCK and GEM/誠文堂新光社
ロナルド・ルイス ボネウィッツ(著)・青木 正博(訳)ISBN:978-4416807002